400字作文 5枚目
新聞の投書欄より(その2)
現代の若者たちは、昔に比べて貧しいのだという。しかしその貧しさは「相対的貧困」で、食うや食わずの貧乏暮らしをしている人はほとんどいない。現代の貧困は目に見えない。しかし若者たちを蝕む深刻な社会の病だ。
こうなった原因は、社会的に所得の再分配が進まなくなっているからだ。富裕層は自宅や会社に、使い道のない金を積み上げている。それを社会に環流しなければ、若者はずっと貧しいままだ。僭越ながら、私は多少なりともその環流に関わる仕事をしてきたつもりだ。
しかし若者もおとなしすぎる。自分にとって本当に必要なもの、本当に欲しいものがあるなら、手に入れるための努力をすべきだ。壁があるなら乗り越えればいい。目の前で扉が閉ざされていたら、それを無理矢理こじ開けても中に入って行く勇気は必要だ。
(五十代男性・窃盗犯として現在服役中)