10月18~22日頃は第五十一候「蟋蟀戸に在り(きりぎりすとにあり)」。秋が深まると、野で鳴いていた虫たちもだんだん民家に近づいてくる、という意味の七十二候。
そういえば夏の終わりより、虫たちの声をそばに感じませんか? 秋の夜長、窓を開けて、虫たちの声をBGMに読書をしたり、お酒を楽しむのもいいですね。
秋ならではのお金のかからない贅沢な楽しみ。今日は楽しみで終わらない、エネルギーの充電につながる、とっておきの秋の夜長の過ごし方をご紹介します。テーマは「ストレスとさようなら! 秋の夜長のプチ瞑想」です。
七十二候とは? 時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか? 流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。
季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。
「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。
昔から特別だった”秋の夜”
夜の長さは冬の方が長いのに、秋の夜ってなぜだか不思議と長く感じますね。
夜空に浮かぶ月は一年中見られますが、秋の月は夜空が澄んできれいに見えることから、古来より特別に親しまれていました。昔の人は、秋の夜空をながめ、虫の声に耳を澄ませ、多くの和歌を詠みました。
「いつはとは 時はわかねど 秋の夜(よ)ぞ 物思ふことの かぎりなりける」(古今和歌集)とあるように、秋の夜は、ひとりしずかに物思いにふけることがかなうとき。ちなみに「月の秋」「月待ち」「夕月夜(ゆうづきよ)」「宵闇(よいやみ)」と、月に関係のある季語も多くあります。
「無」にならなくていい?瞑想の秘訣
私はイギリス式カラーセラピー「オーラソーマ」のセラピストとして、かれこれ15年近く仕事をしています。「あなたの答えは、あなたの内側にあります」といわれるオーラソーマのコースでは、自分の内側に心の耳を澄ませる瞑想の時間があります。
瞑想というと「何も考えない無の状態をつくらなければならない」と思う方が多いと思います。そう考えていた私も、最初は瞑想が苦手でした。瞑想中も、次から次へとさまざまなことが頭に浮かんで、まったく集中ができず……。どうしたらよいものかと考えあぐねていたら、コースの先生に「それでいいんですよ」といわれ、ハッとしました。
「無」にならなくちゃ!と思った瞬間から、無ではありませんね。「無」にいたるにも、日々の積み重ねが大切なのです。
「瞑想」は心の祈り
Image by 後藤夕深
瞑想は基本的にしずかな空間で行います。先日、「”静”という文字は、”青(あお)”に”争(あらそう)”とかきます。
瞑想をしているとき、次々と頭に浮かぶのは、心の葛藤。心配や不安に思っていることを頭の中で無理に消し去ろうとせず、ただ黙って見守ります。それにより、心と体にかかった余計な力を”しずめられる”のです。
また、瞑想は祈りに似ていると思いませんか? 神社仏閣で祈りをささげる時間は、自分と向き合う時間。瞑想も同じです。毎日3分でもかまいません。瞑想の時間を持つことによって、あらゆることに動じなくなり、心が安定しますよ。
1日3分のプチ瞑想
お気に入りのアロマや香を焚いて、虫たちの声に耳を澄ませながら秋の瞑想にトライ。方法は簡単です。自分にとって楽な姿勢で床やソファー、椅子に座ります。あぐらをかいてもいいでしょう。目を閉じて、口からゆっくりと息を吐きます。吐ききったら、鼻から新たな空気を吸い込みます。吸いきったら3秒息を止めて、またゆっくりと息を吐きます。これを3分間繰り返すだけ。
呼吸のストレッチをしながら、自分が決めたリラックスできる言葉を唱えるのもひとつです。たとえば「アロハ」。声に出さずにゆっくりと「アロハ」「アロハ」「アロハ」と唱えるのもいいでしょう。
ちなみに私が唱えている言葉は、福をむかえいれる「ふくふく」。お天気のよい日は、公園のベンチに座り、外の風を感じながら軽く目を閉じて瞑想するのもいいですね。最初は、雑念や邪念ばかりが浮かぶかもしれませんが、瞑想を続けているうちに、だんだんと呼吸も穏やかになっていき、「無」を感じることができるようになります。
ストレスとはさようなら。1日3分のプチ瞑想で、明日も元気にがんばりましょう。