児童虐待被害、最多1991人 加害多くは実父 法改正強化
児童虐待、法改正で改善どこまで
児童虐待被害、最多1991人 警察庁調べ
死亡54人、加害者の多くは実父
保護も増加で5553人
昨年1年間に警察が摘発した児童虐待事件は1972件で、被害に遭った18歳未満の子供は1991人(前年比42・8%増)だったことが3月12日、警察庁のまとめで明らかになりました。ともに過去最多を更新。
昨年も父親から暴力を受けた千葉県野田市の小学4年栗原心愛さん当時(10)ら54人(無理心中の21人含む)が死亡するなど、深刻な状況が続いています。
社会的関心の高まりや児童相談所(児相)との連携強化で通報や情報提供が増えたことを受け、警察が積極的に対応していることが要因とみられます。
ただ、悲惨な事件は後を絶たず、対策の強化が急務となっています。
警察が摘発した事件の約8割は「身体的虐待」(1641件)で、「性的虐待」246件、「心理的虐待」50件、「育児放棄(ネグレクト)」35件でした。
加害者は実父が最多で913人、実母が550人、養父・継父が302人、内縁の男が187人と続いた。子供の性別は男児が1013人、女児が978人。
虐待の疑いで警察が児相に通告した子供は9万8222人(確定値)で最多を更新しました。心理的虐待が7万件超で、うち約6割は目の前で親が配偶者らパートナーから暴力(DV)を受ける「面前DV」でした。
DVの通報を受けて駆け付けた警察官が、現場に子供がいた際に虐待として通告するケースが増加しているためとみられます。児相が子供の安全確認時に警察官の同行など援助を要請したのは494件で、前年より155件増加。
児童虐待は4種類に分類
【身体的虐待】
殴る、蹴る、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など
【性的虐待】
子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など
【ネグレクト】
家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など
【心理的虐待】
言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV) など
児童虐待と聞くと、子どもを殴ったり、熱湯をかけるなど暴力的なイメージが強いですが、実際は警察が児童相談所に通告する虐待の7割は、暴言などで子どもを傷つける心理的虐待です。
身体的虐待の3倍以上に上ります。
一方、摘発件数となると、当然身体的虐待が圧倒的に多い。
それでも、2019年に脅迫などの心理的虐待で、親などが摘発されたケースは50件もあり、警察当局が、児童虐待に積極介入せざるを得ない深刻な実情があります。児童相談所は個別では地域差があったり、虐待親との対応で温度差があり、児相がどこまで介入できるか、介入しないが故に貴い児童の命が失われるケースもあり、対応に大きな課題と難題があります。
親による体罰禁止を盛った改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が2019年6月19日、参院本会議で全会一致で可決、成立しました。千葉県野田市の女児死亡事件など、子どもへの「しつけ」を名目にした虐待が後を絶たないことから禁止を明確にしました。児童相談所(児相)の機能強化も盛り込み、一部を除き2020年4月から適用します。
改正法では、親は「児童のしつけに際して体罰を加えてはならない」とし、児童福祉施設の施設長らによる体罰も禁止。児相の機能強化策では、子どもの一時保護をする職員と親への支援を行う職員を分離し迅速な保護につなげ、医師と保健師をそれぞれ各児相に1人以上配置します。
日本はいまだ体罰を容認する意識が根強い。公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが2017年に大人2万人を対象にした意識調査では、しつけのために体罰を容認する人が約6割にのぼる。一方、世界ではすでに54カ国が体罰を法律で禁止しているのが実態です。
相談窓口(児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」)
「虐待かも」と思ったら、お住まいの市町村、児童相談所までご相談ください。
児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」へかけると、お住まいの地域の児童相談所につながります。
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幼児虐待防止の オレンジリボン運動
オレンジリボン運動では2020年度の公式ポスターコンテストを行っており、締め切りは2020年3月23日。どしどし応募を。
愛の鞭ゼロ作戦( PDF)